あるところに、**秋谷 間々代(あきや ままよ)**さんという方がいました。
間々代さんの実家は、ご両親が亡くなってから、ずっと空き家のまま。
クルマで1時間もかからない距離だから、最初は換気や雑草取りなど、ちゃんと管理をしていました。
でも今では──
「ほらぁ、だってウチには子どももいるし、予定もいろいろあるじゃない?
だから、仕方ないわよね」
(……というのは自分への言い訳)
かといって、実家を売却して他人の手に渡るなんて、とても考えられません。
子どもの頃に過ごした思い出がぎゅっと詰まった場所だからです。
「じゃあ賃貸にでも出せば?」と夫に言われても、
「知らない人に出入りされるとかムリ。第一、契約とか修繕とか、なんか面倒じゃん」
しかも築40年以上、もうボロボロで借り手なんてつくはずもありません。
「解体した方がいい」と勧められたこともあります。
でも……
「今、解体費が上がっていて200万円とかかかるんでしょ?
それに解体したら固定資産税が6倍になるって聞いてるわよ。

だったら、そのままよ! 何もしないのが一番でしょ!
確かに固定資産税は払い続けていますが、どうにもならないほどの負担でもない。
──こうして“理由があるようでない”まま、実家は空き家として放置され続けるのでした。
目次
ある日突然…
ポストに届いた固定資産税の納付書を開いた瞬間、間々代さんは固まりました。

……え? なんでこんなに高いの? 去年の何倍よ、これ。
何かの間違いじゃないの?
恐る恐る役所に問い合わせると、淡々と説明されました。
役所:「あー、ご実家は管理不全空き家に指定されたので、住宅用地特例が外れたんですね。
これまで市から改善の勧告を送っていましたが、ご覧になっていないのですか?」
確かに通知は届いていました。
でも「正直読む気も起きず、放っておけばそのうち諦めるだろう」と思っていたのです。
間々代:「空き家なのはウチだけじゃないですよね。酷いじゃないですか」
役所:「いや~、国の空き家対策の方針が変わりましてね。これからは空き家所有者からの徴税を強化するんです」
間々代:「そ、そんなぁ~……」
──という話が、実際にあったとか、なかったとか。
住宅用地特例とは?特例あり・なしの違いも解説

住宅のある土地には固定資産税や都市計画税がかかります。
ただし『住宅用地特例』により、税金を計算するもとになる金額(課税標準)が小さくなるため、結果として支払う税額が安くなります。
住宅用地特例で課税標準が軽減される意味
- 小規模住宅用地(200㎡以下):固定資産税=評価額の1/6、都市計画税=評価額の1/3
- 一般住宅用地(200㎡超):固定資産税=1/3、都市計画税=2/3
この特例が外れると「本来の課税標準額」に戻るため、税負担は一気に跳ね上がります。

固定資産税の6分の1の特例がなくなると、やっぱり税額が6倍になるってこと?
その点はご安心ください。
特例が外れても、非住宅用地には負担調整措置(上限0.7)が適用されますので、実際には税額が6倍に跳ね上がる、ということはありません。
特例のあり・なしで税金はどれだけ違う?試算してみた結果
具体的に見てみましょう。
ここでは、評価額2,000万円・200㎡以下の土地を前提に計算してみました。
特例あり(住宅あり・空き家でも管理状態良好)の場合
固定資産税: (20,000,000 × 1/6 ) × 1.4% = 46,667円(約4.7万円)
都市計画税: (20,000,000 × 1/3 ) × 0.3% = 20,000円(2.0万円)
合計:66,667円
特例なし(更地・管理不全空き家など)の場合
固定資産税: (20,000,000 × 0.7 ) × 1.4% = 196,000円(19.6万円)
都市計画税: (20,000,000 × 0.7) × 0.3% = 42,000円(4.2万円)
合計:238,000円
→ 合計の倍率は 約3.57倍。
固定資産税だけで見ても 0.7/(1/6)=4.2倍。
「6倍」にはなりません。
(東京都23区など条例で上限65%の地域では、合計倍率は約3.3倍まで下がります。)。
未来からの警鐘|松戸市ではどうなる?
秋谷間々代さんの話は、決して個人的な話ではありません。
これから全国的に、こうした「空き家放置のツケ」を払う人が激増すると予想しています。
- 全国の空き家は 900万戸超(住宅の13.8%)、過去最多。
- 特に「賃貸・売却用でない長期不在の空き家」は 385万戸。この5年で37万戸増加し、空き家増加の7割を占めます。
- 行政が把握する「管理不全空き家」は 約50万戸。2023年度だけで 1,000件超が指導対象に。
- 今後20年で「その他の空き家」は **386万戸→597万戸(2043年予測)**へ。空き家率は **8.1%**に達すると見込まれています。
つまり──
「放置こそ節約術」ではなく、「放置こそ課税ターゲット」 になる未来が、確実に近づいている、と考えられるのではないでしょうか。
松戸市の人口や空き家の現状や将来像はこちらに詳細に解説しています。
松戸市の人口の高齢化と2040年問題|65歳以上が多数派になる未来
笑えないオチ
秋谷間々代さんは気付きました。
「思い出は心に残すもの、家に残すものじゃない」
──もっと早く気付けばよかったのに。
まとめ
空き家放置は、もう“笑い話”では済みません。
税金も、近隣トラブルも、行政指導も、確実にのしかかってきます。
👉 空き家の解体・売却・活用、どう動くかを考えるなら今。
まだ間に合います。すぐにご相談ください。
 
    






