
高値で売却したい!
この価格以下で売却なんて絶対にしない!

買主がリフォームにいくらかけるかなんて、こっち(売主)には関係ない。
これは相続した家を売ろうとする方なら誰もが思う、ごく自然な感情です。できる限り高く売りたい、安売りはしたくない。それ自体は間違いではありません。
しかし現実は…
確かに、リフォーム費用を負担する義務は売主にはありません。買主がどう直すかは本来、買主の問題です。
ところが、2025年4月からの建築基準法改正により、従来は見過ごされてきた「古い建物を直すコスト」が、買主にとって避けて通れない負担になりました。
築古物件では、リフォームや増築の際に新基準への適合が求められるようになり、追加工事や審査でコストが跳ね上がるケースが増えています。
つまり「買主の問題」で済まされていたはずの費用が、結果的に売主の売却価格に直結するようになったのです。
加えて、こうした改正を十分に理解せず、従来どおりの説明で話を進める不動産会社も少なくありません。その結果、買主が「聞いていなかった」「想定外の費用がかかる」と不満を抱き、交渉やトラブルにつながることが現実に起きています。
だからこそ、市場では「売却価格+リフォーム費用=総支出」で冷静に比較されるのが、今後当たり前になってくるはずです。
この記事を最後まで読めば・・・
- 売却価格を強気一辺倒で売りに出したときのリスク
- 法改正によって築古物件が選ばれにくくなった理由
- 売主が今からできる備えと対策
が理解できます。
失敗事例:強気の売却価格にこだわった結果
相続した松戸の築40年戸建の実家を売却し、整理しようとしたAさん。
「駅からも近いし、土地の価値もあるはず」と考え、相場よりも強気な価格で売り出しました。
最初に関心を示したのは、リフォームを前提に購入を検討していた40代の夫婦です。
しかしAさんは、実家の設計図書が見当たらず、建物の状態を正確に説明できませんでした。
夫婦は不安を感じ、リフォーム会社に現地調査と見積もりを依頼しました。
その結果、想定を大きく超える数百万円規模の追加工事費が必要と判明。夫婦は「この金額なら新築と変わらない」と考え、Aさんに価格交渉を持ちかけました。
ところがAさんは、

そんなに安い価格で売りたくない!
土地だけでも価値があるはずだ!
と突っぱねました。交渉は決裂し、取引は成立しません。
その後も何組かの内見希望者が現れましたが、いずれも同じようにリフォーム費用を試算した時点で購入を断念。Aさんは「買い手の見る目がない」と憤りましたが、時間ばかりが過ぎていきました。
数年後、建物はさらに老朽化。外壁のひび割れや雨漏りが進み、内見者からは「修繕だけで数百万円かかるなら、新築を選ぶ」と言われる始末。最終的には不動産会社から「建物解体を前提に土地として売るしかない」と告げられました。
当初の希望価格からは大幅に下げざるを得ず、さらに解体費用まで差し引かれ、Aさんの手元に残ったのはごくわずかな資金だけ。思い出の家を資産として残すどころか、「負動産」となってしまったのです。
実家が売れ残ってしまった5つの原因
なぜ、Aさんの実家は売れ残ってしまったのでしょうか。
これには以下の5つの原因(理由)が考えられます。
- 過去の相場感にとらわれた思い込み
 「昔はもっと高く売れたはず」「土地に価値があるから大丈夫」といった感覚・主観を引きずり、現実の市場価格や買主の判断基準を軽視してしまった。
- 設計図書や資料が手元になかった
 2025年4月の建築基準法の改正以降、検査済証や設計図書の有無が、売却やリフォーム時の金融機関・建築業者の判断に直結するようになりました。建物が法律に適合したことを証明できる検査済証等の書面が重要な意味を持ちます。
 書面がない場合、
 ・金融機関やリフォーム会社が慎重になり、その結果ローン審査や増改築の許可が下りにくくなる
 ・違法建築と見なされる可能性があり、その場合は是正命令や使用制限がかかることもある
 そのように買主に不安を与えた結果、リフォーム会社が出した見積もりは高額になり、買主が売主に対して価格交渉してくる場合があります。
- 法改正による買主の判断基準の変化
 2025年4月の建築基準法改正で、大規模リフォームや増築では新基準への適合が求められるようになった。そのため買主は「売却価格+リフォーム費用=総支出」で冷静に比較するようになり、築古物件が不利になった。
- 時間が経つほど進む老朽化
 売れ残る間に外壁のひび割れや雨漏りなどが進行。修繕費や解体費が上乗せされ、ますます買主が敬遠するという悪循環を招いた。
- 不動産会社の力量不足=選定ミス
 担当した不動産会社が法改正や制度の変化を十分に理解していなかった。その結果、買主に正しい説明ができず、交渉決裂を招くことに。つまりこれは、売主が「どの不動産会社を選んだか」の問題でもあった。
売主が備えるべき5つの具体策
Aさんのケースのように失敗しないためには、先ほどの5つの原因を一つひとつ潰していくことが大切です。
そのための具体的な備え方を整理しました。
- 相場感を冷静に把握する
 「昔はこうだった」という思い込みを捨て、直近の成約事例や周辺の市場動向を調べることが重要です。根拠あるデータをもとに価格設定を行うことで、買主の現実的な目線に合わせられます。
- 設計図書や関連資料を整理しておく
 確認済証・設計図書・リフォーム履歴などを探し、手元にない場合は建築士や専門業者に現況調査を依頼しましょう。書面の有無は買主にとって大きな安心材料になります。
- 法改正を前提にした売却戦略を立てる
 2025年4月の建築基準法改正で、リフォームや増築に新しい基準が求められるようになっています。買主は「総支出」で考え、新築・築浅と比較してくるようになるので、その前提で価格を考えることが必要です。
- 時間経過のリスクを理解する
 「待てばもっと高く売れる」は幻想です。売れ残れば残るほど老朽化し、解体費や修繕費が重荷になります。早めの行動が結局は一番の防御策になります。
- 不動産会社は“最新知識”で選ぶ
 不動産会社の力量次第で結果は大きく変わります。制度改正を理解し、買主への説明責任を果たせる担当者を選ぶことが不可欠です。「売り出すだけ」ではなく「売れ残らせない」ことを重視している会社を選びましょう。
当社ならこう支援できます
原因を一つひとつ潰すためには、売主だけで考えるのは難しい部分もあります。
特に法改正や資料整理、買主への説明などは、不動産会社の力量に大きく左右されます。
だからこそ「誰に任せるか」が、売却成功の分かれ道になるのです。
株式会社まっとうのは、松戸を拠点に、相続・空き家の相談を数多く受けてきました。
その中で、以下のような支援を提供しています。
- 相場データをもとにした適正価格の提示
 周辺の成約事例や最新の市場動向を分析し、強気すぎず安売りもしない、根拠ある価格をご提案します。
- 設計図書や現況調査のサポート
 書類が見つからない場合でも、建築士や専門業者と連携し、現況調査・概算見積もりを準備。買主に安心してもらえる材料を整えます。
- 法改正を踏まえた売却戦略
 2025年4月の建築基準法改正に対応した説明・書面づくりを行い、買主からの想定クレームを事前に防ぎます。
- 売れ残りを防ぐタイムマネジメント
 「時間が経てば価値が下がる」ことを前提に、売却までのスケジュールを設計。最も良いタイミングで売れるようサポートします。
- “売る”ではなく“売れ残らせない”を重視
 表面的に高値で売り出すのではなく、実際に成約につながる戦略を立てます。これが資産を「負動産」にしない最大のポイントです。
まとめ:あとでやろうは最大のリスク
「買主のリフォーム費用なんて知らない」というのは売主として自然な感情です。
しかし法改正後の市場では、その費用が確実に買主の判断基準に組み込まれ、売主の希望価格にも直結します。
待てば待つほど築古物件は劣化し、解体費まで抱え込む「負動産」になってしまうリスクがあります。
だからこそ、“今”から準備を進めることが資産を守る唯一の道です。
株式会社まっとうは、その準備を伴走して支援します。
相続した実家の売却を考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
 
    






