
古家を解体して更地にしないと売却しづらいのかな?

でも、解体費用がかかるから、できれば古家付きのまま売りたいんだけど…
相続や空き家を売却するとき、あなたもこんな悩みに直面していませんか?
「古家付きで売るか、更地にして売るか」──どちらが正解かは、立地や建物の状態、そしてあなた自身の事情によって変わります。
この記事では、それぞれのメリット・デメリットから、解体のタイミング、実際の現場でよくある判断基準までを整理しました。
最後までお読みいただければ、あなたのケースではどちらを選ぶのが良いのか、自信を持って判断できるきっかけになるはずです。
目次
基礎知識:「古家付き土地」と「更地」の違いを整理しよう
「古家付きで売るか、更地にして売るか」──この判断をするには、まず基本の言葉の意味を押さえておくことが大切です。
古家付き土地とは
あなたが持っている土地に、築年数が古い建物がそのまま残っている状態のことです。
「とりあえず現状のまま売りに出す」ケースがこれに当たります。
- 例:築40年の木造住宅が残っている土地を、そのまま“古家付き土地”として売りに出す
更地とは
建物を解体して、土地だけの状態にしたものです。
「買い手が自由に使える」状態を先に整えてから売るイメージです。
- 例:古い建物を取り壊し、整地したうえで“更地”として売りに出す
この二つは単なる呼び名の違いに見えますが、
- 売れるスピード
- 買い手層
- 税金の負担
- 売却後にトラブルになるリスク
など、意外なところで大きく差が出ます。
まずはこの違いを知ったうえで、自分の土地にどちらが向いているかを考えることが、失敗しない第一歩です。
古家付きで売るメリット・デメリット
築古の家が残ったままの状態で売却する──いわゆる「古家付き土地」での売却です。
実は、これを選ぶ方はかなり多いのですが、理由があります。
メリット
- 解体費用を先に払わなくていい
 たとえば木造30坪の家なら、解体費用だけで100万円〜200万円はかかります。
 そのお金を先に出さなくていいのは、資金に余裕がないときには大きなメリットです。
- 固定資産税の軽減措置が続く
 古家が残っていれば「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大1/6に抑えられます。
 更地にしてしまうと逆に税負担が増えるため、売れるまで古家付きで持っていた方が有利になる場合もあります。
- リノベーション需要に応えられる
 最近は「古い家を買って、自分好みに直したい」という買い手も増えています。
 立地が良ければ、古家付きでも十分に価値を見出してくれる人が現れる可能性があります。
デメリット
- 見た目が悪く、印象で損をする
 ボロボロの家が建っていると、どうしても買い手に「ここは大丈夫かな…?」という不安を与えます。
- 契約トラブルのリスクがある
 古家を残したまま売ると、建物の雨漏りやシロアリ被害などについて「契約不適合責任」を問われるリスクが広がります。
 もちろん免責特約をつけることもできますが、買い手からは敬遠されやすい条件になります。
- 結局、値引きされやすい
 「どうせ解体するんだから、その分値引いてほしい」と交渉されるのはよくあること。
 結果として売却価格が下がり、解体費を負担したのとあまり変わらなかった…というケースも少なくありません。
更地で売るメリット・デメリット
建物を壊して、土地だけの状態にしてから売却する──それが「更地で売る」方法です。
見た目がすっきりし、買い手にとっても扱いやすいので、一見すると最も有利に思えます。
でも、実はメリットだけではありません。
メリット
- 買い手がつきやすい
 ぱっと見て「使いやすそうな土地だ」と思ってもらえるのは大きな強みです。
 解体の手間が省ける分、買い手の心理的ハードルが下がり、結果的に売却スピードも速まるケースが多いです。
- 自由に活用できる状態を提示できる
 戸建・アパート・駐車場──用途を限定せず「ゼロから設計可能」な状態で買い手に渡せます。
 そのため、購入検討層がぐっと広がります。
- 印象が良い
 老朽化した建物が残っているよりも、整った更地の方が“ポジティブに見える”のは当然です。
 特にネット掲載の写真や現地見学では、この見栄えの差が大きく影響します。
デメリット
- 解体費用の先出しが必要
 木造でも数百万円、鉄骨やRC造ならさらに高額な解体費用がかかります。
 資金に余裕がない場合、「解体してから売ろう」は現実的ではないかもしれません。
なお、松戸市では老朽化した建物の解体に補助金制度があります。
詳しくは「松戸市の解体補助金制度まとめ」をご覧ください。
- 残置物があると処分費が上乗せされる
 解体費用はあくまで建物本体が前提です。
 室内に家具や家電、生活ゴミなどが残っている場合、それらの撤去費用が追加でかかります。
 特に相続物件や長年放置された空き家では「残置物処分だけで数十万円」ということも珍しくありません。
- 固定資産税が高くなる
 古家がある状態なら住宅用地の特例で固定資産税は最大1/6に軽減されます。
 ところが更地にするとその特例が外れ、翌年から税額が一気に跳ね上がることがあります。
- 思わぬ追加費用のリスク
 解体してみたら地中から廃材やコンクリ片が出てきた──これは珍しくありません。
 地盤改良や擁壁の補修が必要になるケースもあり、見積もり以上の費用がかかってしまうことがあります。
思わぬ追加費用のリアル体験
私自身、かつて古家(しかもゴミ屋敷)を解体したときのことです。
ゴミを片付け、建物を壊して「これで終わった」と思った矢先…地中からコンクリ片やブロック塀の残骸、得体の知れない枡までゴロゴロと出てきました。
実際の画像はこちらです。


「まだあるのか…」と頭を抱えるほどで、処分費は大幅に膨らみました。
もちろん契約上は「現況有姿・契約不適合免責」として進めれば、売主が責任を負うことはありません。
それでも、実際に買主が工事中にガラを見つけたら、いい気はしませんし、お互いに気持ちのいい取引にはなりませんよね。
私の場合、解体の段階で処理しておいたことで、余計な不信感や交渉を避けられ、スムーズに引き渡せたと感じています。
こうした地中埋設物は、解体してみないと分からないことが多いのです。
追加コストは痛いですが、「見えないリスクを前もって潰しておく」ことで、取引全体が安心につながるのも事実です。
実際の売却現場での傾向

結局、みんなはどうしているの?
──気になるところだと思います。
残念ながら、全国的に「古家付きで売る割合」と「更地で売る割合」を示す統計はありません。
ただ、実務の現場では 古家付きで売り出すケースがかなり多い のが実情です。
理由はシンプルです。
- 解体費用を先に出す余裕がない
- 更地にすると固定資産税が跳ね上がる
- 解体してみないと分からない地中リスクを背負いたくない
こうした背景から、「まずは古家付きで市場に出してみて、反応を見てから判断する」という戦略を取る売主は少なくありません。
もちろん、立地が良くて買い手需要が強い場合には、最初から更地にした方がスムーズに進むケースもあります。
でも実際のところ、「資金的に余裕がある売主の方がむしろ少数派」なのです。
だからこそ、古家付きで出すのは全然珍しいことではなく、むしろ自然な選択肢といえます。
解体のタイミングに注意
更地にするかどうかを考えるとき、意外と見落とされがちなのが 固定資産税の課税タイミング です。
固定資産税は その年の1月1日時点での土地の状態 によって決まります。
つまり──
- 年末に解体してしまうと、翌年は「更地」として課税され、住宅用地の特例が外れて税負担が一気に増える
- 逆に、年明け(1月2日以降)に解体すれば、その年は古家ありとして軽減が効いたまま
という違いが出るのです。
したがって「解体するなら年明け早々に」というのが、最も合理的なスケジュールになります。
売却活動も余裕を持ってスタートできますし、税金面で損をすることもありません。
また、買主が見つかった段階で「更地渡し」とする契約方法もあります。
この場合は 契約から決済までの間に売主が解体を行い、更地にしてから引き渡す という流れになります。
余計な出費を先に抱えることにはなりますが、売却が確定しているため「解体したのに売れなかった」というリスクを避けられるのがメリットです。
ローン特約には要注意!
「更地渡し」の場合、契約後に解体してから引き渡すのが一般的です。
しかし、買主にローン特約が付いている場合は注意が必要です。
買主が住宅ローンの審査に落ちた場合、契約は解除され、手付金も返還されます。
もしその前に解体工事を進めていたら、解体費用は売主の丸損になってしまいます。
さらに、タイミングが悪く1月1日をまたいでしまうと、翌年から固定資産税が“更地扱い”で跳ね上がるという追い打ちまで受けてしまうのです。
安全策は、買主のローン承認が正式に下りてから解体を始めること。
これを理解していない業者に任せると、思わぬ損失を招きかねません。
古家付か?解体して更地か?判断のチェックポイント
古家付きで売るか、更地にして売るか──結局はあなた自身の事情や物件の条件次第です。
判断の目安になるポイントを整理しました。
解体費用を出せる余裕はあるか?
- 木造30坪でも100万〜200万円、鉄骨やRCならさらに高額。
- 「今すぐ負担できない」なら、古家付きで売りに出すのが現実的。
建物の状態はどうか?
- 外観がボロボロで、買い手にマイナスイメージを与えるレベルなら、更地にして売った方が早い。
- 逆にリノベできそうな状態なら、古家付きでも十分検討の余地あり。
土地の立地は人気エリアか?
- 駅近・需要が強いエリアなら、更地にすればすぐ買い手が見つかる可能性大。
- 需要が弱いエリアでは、まず古家付きで出して様子を見るのも戦略。
売却スピードを重視するか?
- 「早く現金化したい」なら、更地にしてアピール度を高める方が有利。
- 「急がない」なら、古家付きで出して市場の反応を見てもよい。
税金や維持費の負担をどう考えるか?
- 古家があれば住宅用地特例で固定資産税が軽減される。
- ただし、放置して「特定空家」に認定されれば逆に税負担は増える。
Q&A(よくある疑問)
Q. 更地にするなら、いつ壊すのがベスト?
A. 固定資産税は1月1日時点の状態で決まります。
そのため年末に解体してしまうと、翌年からは更地扱いとなり税負担が増えてしまいます。
逆に、年明け(1月2日以降)に解体すれば、その年は古家ありの税負担のまま。
余裕を持って売却活動ができるので、このタイミングが合理的です。
Q. 実際には古家付きと更地、どっちで売る人が多いの?
A. 正式な統計はありません。
ただし現場感覚では「古家付きで売り出す人」が相当数を占めています。
理由は、解体費の先出し負担や固定資産税の軽減措置を活かしたい、地中リスクを避けたいといったものです。
まず古家付きで出して反応を見て、売れなければ更地にするという二段構えもよくある戦略です。
Q. 古家付きで売ってから更地にすることもできる?
A. できます。
最初は古家付きで市場に出し、問い合わせが少なければ更地にして再度売却するという方法です。
このやり方なら「解体費を先に無駄にしない」というメリットがあります。
Q. 古家付きで売却後、地中からガラや埋設物が見つかったらどうなる?
A. 契約時に「現況有姿・契約不適合責任免責」としていれば、基本的に売主は責任を負いません。
ただし、買主が実際に工事中にガラを見つけたら、不快感や不信感は残り、気持ちのいい取引にはなりません。
解体の段階で処理しておくことで、後々の余計な交渉を避けられるケースもあります。
まとめ:結局、どう判断すればいいの?
ここまで見てきたように、古家付きで売るか、更地にして売るかは一概にどちらが正解とは言えません。
結局は「あなた自身の資金・物件の状態・売却スピードの希望」によって答えが変わります。
以下の簡単なフローチャートを目安にしてみてください。
解体費用をすぐに出せる?
├─ No → まず古家付きで売り出す(様子を見る)
└─ Yes → 建物の状態はどうか?
        ├─ 見た目が悪く、買い手が敬遠しそう → 更地にして売却
        └─ リノベできそう/見栄えも許容範囲 → 売却を急ぐ?
                  ├─ Yes → 更地にして売却(スピード優先)
                  └─ No → 古家付きで売り出し、反応を見てから判断
もし迷う場合は、「古家付きの査定」と「更地想定の査定」を両方取って比較するのが一番安全です。
数字で比べることで、「結局どちらが得か」がはっきり見えてきます。
ご相談ください
古家付きで売るか、更地にして売るか──頭で分かっていても、いざ自分の土地となると判断に迷うものです。
しかも、解体費用・残置物の処分・固定資産税・ローン特約…と考えるべきポイントは意外と多くあります。
当社では、古家付き査定と更地想定査定を同時にご提示することが可能です。
実際にかかる解体費用や税負担のシミュレーションもあわせて行うことで、数字を見ながら比較検討していただけます。
「結局どちらがいいのか」──その疑問を整理し、納得のいく判断を下すために。
まずはお気軽にご相談ください。
 
    






