昨日の記事「思い出の詰まった実家、どうする? 相続不動産『賢く売却』のススメ」では、相続した空き家を一定期間内に売却することで受けられる税制上の大きなメリット、「相続空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」につい
て解説しました。
今回は、その特別控除が適用される期限を過ぎてしまった場合、一体どうなるのかについて、具体例で詳しく見ていきます。

まだ時間はある。今はまだ決めるタイミングではない。

あとでゆっくり考えたい
売却を先延ばしにしたい気持ちもわからなくもありません。
ただ、期限を意識せずにいると、本来受けられたはずの税制上の恩恵を逃し、結局損してしまうことになります。
今度やろうは馬鹿野郎。明日やろうも馬鹿野郎。思い立ったらすぐ何でもやらなきゃダメだ!
(ドラマ『プロポーズ大作戦』(2007年)でのセリフ)
という格言を胸に、以下の記事を読み進めてみてくださいね。
期限切れでどうなる? 3,000万円特別控除が受けられない!
結論から申し上げますと、「相続空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」には明確な期限が定められています。原則として、その期限を過ぎてしまうと、この特別な控除を受けることは一切できなくなります。
原則の期限:相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
例えば、2025年の4月に親御さんが亡くなった場合、この特別控除の適用を受けるためには、2028年の12月31日までに売買契約を締結する必要があります。この期限を一日でも過ぎてしまうと、3,000万円という大きな控除は適用されません。
特別控除がなくなると税金はどうなる?
もし期限を過ぎて特別控除が適用されなくなると、相続した空き家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して通常の譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって異なり、一般的には以下のようになります。
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下): 約39%(所得税約30%、住民税約9%)
- 長期譲渡所得(所有期間5年超): 約20%(所得税約15%、住民税約5%)
相続した不動産の所有期間は、被相続人が取得した時点から引き継がれるため、多くの場合「長期譲渡所得」の税率が適用されると考えられます。
しかし、3,000万円の特別控除があった場合と比べると、税負担は非常に大きくなります。
【具体例】
例えば、相続した実家(空き家)を売却して3,000万円の利益が出たとします。
特別控除が適用された場合: 3,000万円(利益) – 3,000万円(特別控除) = 0円
→ 税金はかかりません。
特別控除が適用されなかった場合(長期譲渡所得): 3,000万円(利益) × 約20%(税率) = 約600万円の税金がかかります。
このように、期限を過ぎてしまうと、数百万円もの税金を支払う必要が出てくることになります。
先延ばしにするリスク
売却を先延ばしにすることは、税金面でのデメリットだけでなく、以下のようなリスクも伴います。
- 不動産の価値の変動: 時間の経過とともに、不動産の価値が下落する可能性があります。
- 空き家の管理コスト: 固定資産税、都市計画税、修繕費用など、維持管理のコストがかかり続けます。
- 特定空家への指定: 管理不十分な空き家は「特定空家」に指定され、固定資産税の優遇措置が解除されたり、行政指導や強制的な措置が取られたりする可能性があります。
後悔しないために、期限を意識した行動を
相続した空き家の売却には、感情的な側面だけでなく、税金や管理といった現実的な側面も考慮する必要があります。
「まだ大丈夫」と思わずに、まずはご自身の状況を確認し、特別控除の期限内に売却が可能かどうか検討を始めることが大切です。
もし、期限が迫っている場合や、適用要件について不安がある場合は、まずは私たちにご相談ください。
私たちがお手伝いできること
- お客様の状況を詳しくお伺いし、特別控除の適用可能性があるかどうかを初期に診断いたします。
- 適用可能な場合は、期限内の売却に向けて、具体的なスケジュールや売却プランをご提案いたします。
- 税理士などの専門家との連携もスムーズに行いますので、複雑な手続きも安心してお任せいただけます。
賢明な判断と早めの行動が、将来の節約に繋がります。まずは一歩踏み出し、私たちと一緒に最適な解決策を見つけましょう。