
結構です。お引き取りください。ガチャ。
雨の中、インターホン越しに冷たく言い放たれ、娘と二人、トボトボと帰路につく。
「あ~あ、、、これで何軒目だろう・・・」
「せっかくの週末なのに、何やってんだろオレ」
近所の空き家を見つけては、所有者を訪ね、「空き家の再生」を提案する日々。
これは会社員時代の話。娘も当時はまだ幼稚園に上がる前くらいでした。
・住むこともなく
・貸すこともなく
・売却することもなく
・ただただ、固定資産税を支払い続けている
そんな空き家が、松戸市にも年々増えています。
令和5年住宅・土地統計調査のデータから、松戸市の空き家は、
2018年:32,250軒
2023年:37,370軒
あり、この5年間で5千軒以上の空き家が増えています。
居住有住宅総数のデータと合わせると、松戸市の空き家率は、
2018年:12.76%
2023年:14.08%
と、ついに14%台に突入。
この数字は、これからどんどん上がっていきます。
「不動産は資産だ」そう信じて疑わない人は多い。
しかし、固定資産税など維持費の支払でキャッシュアウトが続く状況は、「負債」と言わざるを得ません。
放火や倒壊のリスク、そしてその責任。空き家を放置することは、資産価値が落ちていくばかりで、未来への不安を抱え込むことと同じです。
「ならば、私が空き家をお預かりして再生し、新たな価値を生み出そう」
という発想で、空き家の所有者を訪ね歩いていたというわけです。
しかし、現実はやっぱり厳しい。
私のようなオッサンが突然訪ねても、相手にしてみたら普通に怪しいのは当たり前。
少しでも怪しさが緩和できるかなと思い、小さな娘を連れて回ってみたものの、門前払いが続く。
そんな中、
なぜ、空き家対策は進まないのか?
なぜ、所有者の方々は動かないのか?
と素朴な疑問が浮かんできたので、調べてみたことがあります。
調べた結果を踏まえ、「じゃあ、一体どうしたらいいのか?」ということも考察しましたので、今回はそれをシェアします。
空き家問題、深刻化の一途
全国の空き家は、2018年の時点で846万戸、空き家率は13.6%と過去最高を記録。さらに、2023年の調査では、空き家は900万戸近くに増加し、空き家率は14%を超えています。この数字は、年々増加の一途をたどっています。
国も対策として「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行していますが、効果は限定的。松戸市役所の担当者にもヒアリングしたこともあったのですが、歯切れが悪く、具体的な成果はほとんど上がっていない印象。
なぜ、空き家所有者の7割は「現状維持」?
驚くべきことに、空き家所有者の7割は、特に何もしていません。
売却するわけでも、活用するわけでもなく、ただ放置しているのです。その背景には、「相続」という共通点がありました。私が出会った所有者の方々も、ほとんどが相続で空き家を取得していました。
では、なぜ彼らは空き家を放置するのでしょうか?
その理由を探ると、以下のような声が聞こえてきました。
「物置として必要だから」
「解体費用をかけたくないから」
「特に困っていないから」
「将来、自分や家族が使うかもしれないから」
「仏壇などの処分に困っているから」
「売却や賃貸の手間をかけたくないから」
「更地にしても使い道がないから」
つまり、「差し迫った理由がない」のです。
「別に困っていないし、将来使うかもしれないし…」そんな曖昧な理由で、大切な資産が眠り続けているのです。
「持ち家」が「負債」に変わる前に、目を覚ませ。
空き家の放置って、変化を避け、現状を維持しようとする心理(現状維持バイアス)が働いていますよね。
しかし、考えてみてください。
・年々老朽化が進む建物
・地震や台風による倒壊リスク
・特定空き家に指定されれば、固定資産税の増税も

いつか将来、子や孫が使うかもしれない…
そう思っていても、そんな「将来」が来ることはないもの。
・思い出が詰まっているから、手放すことに抵抗感がある
・空き家を処分/整理するのためのおカネをかけたくない
・時間や労力がかかり、精神的負担が大きい
ということがあるのはわかります。
ただ、そうして放置したままにすると、気づいた時には、あなたの「持ち家」は、想像もしていなかった「負債」へと変わっています。
今、動き出す時
では、どうすれば空き家問題は解決に向かうのか。
もちろん、2024年4月から相続登記の義務化など、国は動いてはいます。
ただ、どことなくのんびりしている印象。
もっと、特定空き家への指定を増やし、固定資産税の増税を強化してもいいんじゃないかって思うんですよね。
現行のままだと、ほとんど罰則を受けないし、受け手もほとんど痛手にならない。
でも、国が何とかしてくれる、誰かがなんとかしてくれる、なとど他力本願ありきではあかんよね。
自分が所有する資産なんだから、「まず自分でその責務を全うするのが筋でしょ」って話。
現実を直視せず先送りを続けていると、「カネはないけど、持ち家はある」がいちばん泥沼化する…という格言があるように、結局自分や家族にかえってきます。
将来の選択肢として、もし、不動産の売却を少しでも考えているのであれば、まずは情報収集から始めてみませんか。