資産整理

【2024年最新版】マンション修繕積立金、ガイドラインの現実と将来への備え

マンションの修繕積立金の支払いが厳しい…

将来値上げになったらもう払えない…

もしあなたがそう感じているなら、今回の話は決して他人事ではありません。

結論から申し上げます。

「マンションは、適切な時期に見直し、必要であれば売却」という視点を持つべきだと考えます。

なぜなら、マンションの修繕積立金に関する問題は、
もはや無視できない現実を突きつけているからです。

その根拠となるのが、国土交通省が公表した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
さらに、その後の改定内容や、最新の市場データも加味しています。

今回は、そうした情報をもとに、
修繕積立金の「いま」と「これから」について、わかりやすく解説していきます。


マンションの修繕積立金とは?改めて確認

修繕積立金とは、マンションの共用部分を維持・保全するためのお金です。
区分所有者が毎月コツコツ積み立てる仕組みになっています。

これは、日々の管理費とは異なり、計画的な大規模修繕工事に充当されます。例えば、以下のような箇所の修繕費用は、修繕積立金から賄われます。

  • 鉄部(階段、手すりなど)の塗装
  • 外壁の補修
  • バルコニーの防水工事
  • 屋上の防水工事
  • 廊下やエントランスの改修
  • 給排水管の更新
  • ガス管の更新
  • 電気設備の改修
  • 給水設備の更新
  • エレベーターの改修・更新
  • 機械式駐車場のメンテナンス・更新

これらの修繕は、マンションの資産価値を維持し、快適な住環境を保つために不可欠です。


【最新ガイドライン】本来必要な修繕積立金の目安

国土交通省のガイドライン(2024年6月改定)には、「マンションの修繕積立金に関する目安額」が示されています。

正確には、「計画期間全体における修繕積立金の平均額(機械式駐車場を除く)」という表記です。


これによると、㎡当りの月額修繕積立金の平均値は、

●地上20階未満⇒252円~335円 
●地上20階以上⇒338円

となっています。

これをもとに試算してみました。

修繕積立金が300円/㎡・月、専有床面積70㎡の場合、必要な修繕積立金は以下の通りです。

月額:300円/㎡ × 70㎡ = 21,000円
年間:21,000円/月 × 12ヶ月 = 252,000円

これは、ガイドラインが示す平均的な目安。長期的な修繕計画を適切に実施するための積立額を示唆しています。


最新データとの比較でわかる深刻さ

一方で、レインズのデータ※では、1㎡当たりの月額修繕積立金平均は181円(首都圏)でした。

※公益財団法人 東日本不動産流通機構(REINS)発表:2022年度の首都圏中古マンションの修繕積立金に関するデータ。



同じく専有床面積を70㎡として試算し、比較してみます。

実際の月額修繕積立金(平均)は、181円/㎡ × 70㎡ = 12,670円となります。

これをガイドラインの目安額と比較します。

すると、月々8,330円(21,000円 – 12,670円)、年間で約10万円(99,960円)不足となります。

この差額は、将来的に修繕資金が不足する可能性を示唆しています。

近い将来各住戸に対して、
・一括で不足額の支払いが求められる
・月々の積立額が大幅に上昇する
といった形で、住民の経済的な負担増につながる可能性が高いと言えます。


「見てみないふり」している知人

実は私は以前、分譲マンションに住む知人に修繕積立金の不足について情報提供し、これについてどう思うか尋ねてみたことがあったんです。

すると・・・

(修繕積立金の積立状況なんて)見なかったことにしている


と驚きの答えが・・・汗 

もう、後は野となれ山となれってことなんでしょうか。。。

もしかしたら、同じように考えている人は多いかもしれませんね。

でも、決して他人事ではいられません。


先送りで直面する3つのシナリオ


もし、あなたのマンションの修繕積立金が低い水準で据え置かれている場合、将来、以下のような事態に直面する可能性があります。

1.大幅な修繕積立金の値上げ:
いざ大規模修繕が必要になった際に、積立金が不足していれば、一時金として多額の費用を徴収される、あるいは毎月の積立金が大幅に値上げされる可能性があります。

2.修繕計画の遅延や質の低下:
資金不足により、必要な修繕工事を先延ばしにしたり、質を落としたりせざるを得なくなる可能性があります。これは、マンションの資産価値の低下に直結します。

3.住民間のトラブル:
値上げに反対する住民が現れ、合意形成が難航し、修繕計画が滞ることも考えられます。


資産を守る3つの行動ステップ

私たちは、これからの資産を守るために、以下の3点を“行動ベース”で考える必要があります。

現状を「見える化」する

まずは、マンション管理組合の総会資料や長期修繕計画書を確認し、積立金の残高や計画の進捗を把握しましょう。

松戸市内でも、築30年を超える分譲マンションでは、修繕費の見積もりが当初の2倍以上に膨らんでいるケースが珍しくありません。

今の積立ペースで本当に足りるのか?


この問いを数字で見える化することが、最初の一歩です。
資料が見つからない場合は、管理会社や理事会に問い合わせて確認しましょう。

積立状況を将来見込みと「比べて」みる

国土交通省のガイドラインでは、70㎡前後の住戸で月あたりおおよそ1万5,000円前後の積立が目安とされています。

しかし、松戸市内の多くのマンションでは、いまだに1万円未満というケースも少なくありません。

現状の積立状況と将来の必要額の見込みと比べてみて、明らかに不足しているようなら、

・管理組合に増額を提案する
・修繕積立金のシミュレーションを作成して共有する

など、「話し合いのきっかけをつくる」行動が大切です。

数字で示すと、意見が対立しにくくなります。

「資産の見直し」を検討する

積立金が急に上がれば、毎月の支出も増えます。
いずれにしても「払えない」となれば、マンションの資産価値は下がります。

もし修繕費の負担が重く感じられるようであれば、住み替え・売却・リフォームといった選択肢を早めに視野にいれましょう。

松戸市内でも、築40年前後のマンションは「売れるうちに手放す」判断をする検討を。

「まだ大丈夫」と思っているうちが、実は動けるうちです。

積立金の問題は、待っていても誰も解決してくれません。
資産を守るために、いま現実を見つめ直すことが大切です。

私たちFP不動産法人である株式会社まっとうは、あなたの不動産を単なるモノ(取引の対象)ではなく、あなたの人生における大事なコト(課題)と捉え、その解決に向けてお手伝いすることができます。

うちのマンションの積立金は大丈夫だろうか?

将来の値上げに備えて何をすればいいか分からない


もし少しでもそう感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。

現状分析から将来設計、そして売却のご相談まで、親身になって対応させていただきます。

将来を見据えた早めの行動が、あなたの資産を守る第一歩です。


【参考資料】


マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省):https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf
マンションの修繕積立金に関するガイドライン(概要版)(国土交通省):https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747010.pdf
首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2022年度)(公益財団法人 東日本不動産流通機構):
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_202305_1.pdf

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