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確認申請制度改正(2025)の影響:相続不動産売却で売主が知っておくべき5つのポイント

2025年4月、建築基準法の「確認申請制度」が改正されました。
これまで建築や設計の専門家に関係すると思われていた確認申請ですが、実は相続不動産を売却する際にも大きな影響があります。

特に松戸市をはじめとする住宅地では、古い戸建ての相続物件が多いため、今回の改正は無関係ではありません。

ここでは、改正の内容とともに「売主が押さえておくべき5つのポイント」を整理しました。これを知っているかどうかで、売却のスムーズさや価格に差が出てきます。

本記事でわかること

  • 改正ポイントの要約(4号特例の見直し/新2号・新3号への再分類/省エネ基準の義務化 ほか)
  • 相続不動産の売却に与える影響(ケース別)
  • 売主がいま取るべき具体的アクション

「4号特例」の廃止で小規模住宅も対象に

改正前は「2階建て以下・延べ200㎡以下の木造住宅」であれば、確認申請のときに**建物を支える柱や梁などの構造を示す図面や計算書(一部の書類、専門的には“構造図書”と呼ばれます)**を省略できました。いわゆる「4号特例」です。

これはまさに、一般的な戸建住宅の多くが当てはまる規模。
あなたが相続した家も、この「4号特例」に含まれていなかったでしょうか。

しかし2025年4月からはこの特例が廃止され、こうした住宅も「新2号」「新3号」として再分類されました。結果として、これまで不要だった書類やチェックが必要になるケースが増えています。


リフォーム前提の売却に影響が出る

相続した家をどう売るかを考えるとき、

  • 「ある程度リフォームしてから売ろう」という売主目線
  • 「古いけど買ってから自分好みに直せばいい」という買主目線

この2つの目線があります。

今回の改正で注意が必要なのは、特に後者。

買主が「リフォームすればいい」と思って購入しても、実際に工事を始める段階で確認申請が必要となり、思った以上に手間や費用がかかることがあります。

この場合、「話が違う」と買主が不満を持ち、売主にクレームや追加の価格交渉が及ぶケースも出かねません。
つまり、リフォームに関する申請の厳格化は、売主にとってもリスクになるのです。


省エネ基準が当たり前になり、古い家は不利に見られる

改正後は、新築住宅では省エネ基準への適合が当たり前になりました。
つまり、これから建つ家はみな「省エネ住宅」です。

その一方で、相続した古い住宅はどうでしょうか。
当然ながら、断熱材や窓の性能は現行基準を満たしていません。

これは売主にとって「違法」でも「義務」でもありません。
ただ、買主の目線では“省エネ性能が低い=将来の光熱費や改修コストが増える”と映るため、購入価格を抑える理由になりやすいのです。

つまり、省エネ基準そのものが売主に義務としてのしかかるわけではありませんが、
市場での見られ方が変わった結果、売却価格や交渉に影響してくるのが現実です。


設計図書や検査済証の有無で売却のしやすさが変わる

相続不動産を売却するときに差が出やすいのが、「建築当時の書類」が残っているかどうかです。
ここでいう書類とは、設計図書(設計図や構造図・計算書など)や検査済証(建築確認どおりに工事が終わったことを示す証明書)のこと。

ある場合
ローン審査やリフォーム計画がスムーズです。
金融機関にとっては「きちんと確認を受けて建てられた家」だと安心できるので融資が通りやすく、買主にとっても改修や増築を検討しやすい。
→ 結果として、売却価格が維持されやすく、購入希望者が現れやすい。

ない場合
違法建築扱いになるリスクがあります。
書類がないと「確認を受けずに建てたのでは?」と疑われ、融資を断られるケースが出てきます。
さらに、買主がリフォームしようとしたときに、確認申請が通らない可能性もあり、「売ってからトラブル」に発展しかねません。
→ 売却が長引いたり、「書類がないから安くしてほしい」と強く値下げ交渉されるリスク大。

あるが要件未達の場合
耐震基準や省エネ基準を満たしていないケースです。
書類自体は残っていても、当時の基準で建てられているため、現在の基準から見れば不足が明らかになる。
→ 買主から「耐震補強に数百万円かかる」「省エネ改修が必要」と具体的に指摘され、価格交渉で不利になることが多い。

売主自身は「昔はそれで問題なかった」と思っていても、今の基準や金融機関のルールで取引が動くため、結果的に不利になるのは避けられません。
だからこそ、売却前に「書類があるか/ないか/あっても要件未達か」を整理しておくことが、最初の一歩になります。


売主が今できること

制度改正によって売主に新しい義務が増えたわけではありません。
ただ、買主のチェックが厳しくなった分だけ、売却時のトラブルや価格交渉が増えやすくなっています。
だからこそ、売主が事前に備えておくことが欠かせません。

まずは、建築当時の書類(設計図書や検査済証)が残っているかを確認しましょう。
ある場合は取引がスムーズに進みやすく、ない場合でも早めに状況を把握しておけば対処の仕方を選べます。

書類が不十分な場合でも、建物調査(インスペクション)を受けて現況を明示しておけば、買主の不安を和らげられます。
「老朽化しているが構造は健全」など、事実を第三者の目で示すことで、後から「聞いていない」と言われにくくなります。

そして契約条件。

「現況有姿」と書いておけばすべて免責される──そんな単純な話ではありません。
本当に大切なのは、書類不足や基準未達といったリスクを契約書や重要事項説明に明記し、買主に理解・承諾してもらったうえで契約することです。
このプロセスを踏むことで、引渡し後のトラブルを未然に防ぐことができます。

結局のところ、契約条項やリスク説明をどこまでしっかり組み立てられるかは、不動産会社次第です。

「現況有姿だから」で片付ける業者ではなく、リスクをきちんと洗い出し、契約に落とし込んでくれる業者を選ぶことが、売主にとっての最大の防御策になります。


まとめ

2025年の確認申請制度の改正によって、相続不動産の売却はこれまで以上に「建物の状態」と「書類の有無」が重要になりました。

松戸市をはじめとする地域でも、相続不動産の売却は「建物の状態」と「書類の有無」で結果が大きく変わります。
制度が変わった今こそ、早めの準備と信頼できる不動産会社選びが安心な売却のカギです。

  • 4号特例の廃止で、一般的な戸建ても確認申請が厳格化
  • 新築住宅は省エネ基準が当たり前になり、古い住宅との性能差が価格に影響
  • 設計図書や検査済証の有無が、売却のスムーズさを大きく左右
  • 書類不足や基準未達は、契約条件でどうリスク配分するかがカギ

準備不足のまま売り出すと、価格を下げざるを得ない事態につながります。
制度が変わったいまは、現状を整理しリスクを明示すること、そして契約に落とし込める不動産会社を選ぶことが、安心な売却のカギです。

不動産の整理や売却を「そのうち」と先延ばしにすると、いざという時に売れず、値下げを迫られることになりかねません。
制度が変わった今だからこそ、早めに現状を整理し、専門家に相談することが安心な売却への第一歩です。

「うちの場合はどうなるのか?」と思った方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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