家を売るかどうかの判断は、人生のステージによって大きく変わります。
50代は「まだ売れる・まだ借りられる・まだ動ける」という強みを持つ一方で、親の介護や相続、自分の老後準備といった課題が一気に重なる年代です。
60代に入ると、退職や年金生活とのバランスを考えながら「老後資金と暮らし方」をどう設計するかが焦点に。
70代になると、判断力や体力があるうちに「家族に迷惑をかけない決断」を下せるかどうかが重要になってきます。
この記事では、松戸市の市場感もふまえながら、年代別に不動産売却のメリットと注意点を整理します。
「今の自分にとって最適なタイミングはいつか?」を考えるヒントにしてください。
目次
50代で松戸市の不動産を売却する際のポイント
50代は「まだ売れる・まだ借りられる・まだ動ける」という強みを最大限に活かせる年代。
一方で、「子の独立・親の介護・自分の老後準備」が同時多発的に押し寄せる“トリプル負担”の時期でもあります。
「まだ大丈夫」と思える今こそが、実は一番有利に整理できるタイミングなのです。
メリット
- 物件が高値で売れる可能性がある
松戸市は都内への通勤アクセスが良く、北松戸・新八柱・北小金といったエリアは中古需要が厚い。築20〜30年台の物件なら、まだ「住める家」として評価されやすい。 - 住宅ローンが通りやすい(住み替え時の強み)
現役世代として安定収入があり、銀行審査にも通りやすい。新しい住まいへの住み替えやリフォームの選択肢を広く持てるのは50代の特権。 - 環境変化に柔軟に適応できる
子育てがひと段落し、ライフスタイルを見直す余裕が出てくる時期。身体的・精神的に新しい環境へ慣れる余力がある。 - 親の介護や相続を見据えた同時整理ができる
松戸市内でも「親の家」と「自分の家」の二軒を抱えるケースは珍しくない。親が高齢化するタイミングで同時に動けば、二重管理リスクを減らせる。
注意点
- 資金計画を綿密に立てる必要がある
教育費・老後資金・住宅ローン残債と、出費イベントが重なるのが50代。売却益をそのまま消費するのではなく、「老後資金の確保」と「次の住まい計画」を両立させる視点が必須。 - 売り先行を基本に考える
買い先行にすると二重ローンのリスクを抱えやすい。松戸市の郊外エリア(バス便など)は売却に時間がかかるケースも多いため、まず売却を確定させてから次の住まいを探すのが安全。 - 「まだ大丈夫」の油断は禁物
50代の10年は大きい。築年数が40年を超えると物件価値は急落し、松戸市内でも“土地値のみ評価”になりやすい。動くなら「築30年台まで」が勝負どころ。 - 親の家と自宅のダブル管理に注意
放置された実家が「特定空家」認定されれば、固定資産税の特例解除や行政からの指導につながる。親の介護と並行して、自宅の売却・住み替えを同時に考えておくと後が楽になる。
60代で松戸市の不動産を売却する際のポイント
60代は「老後資金と生活設計」を現実的に考える時期です。
年金生活が始まり収入は現役時代より減る一方、まだ体力と判断力が残っています。
さらに高齢社会では「親の介護」「自分の老後」「将来の相続」といった課題が一気に重なりやすい世代でもあります。
だからこそ、売却や住み替えを“まだ自分で判断できるうちに”進めることが最大の安心につながるのです。
メリット
- 老後資金を確保できる
年金や退職金だけでは不安な場合、自宅や実家を売却して資金を増やせる。生活の安心につながる。 - 親の介護に対応しやすい住環境に移れる
親の介護が必要になったとき、実家近くや介護施設にアクセスの良い場所へ引っ越せる。売却資金がその移動を支えてくれる。 - 戸建からマンションへの住み替えで負担軽減
広い戸建ての掃除・庭の手入れ・階段の昇降などは年齢とともに負担に。マンションに移れば管理が楽になり、将来の安心にもつながる。 - まだ自分で判断できるうちに整理できる
60代のうちに動けば、子ども世代に迷惑をかけずに済む。
注意点
- 築年数の壁
築40年を超えると建物価値はほぼゼロに。松戸でも“土地値評価”になりやすく、解体費用の負担も出てくる。 - 実家問題をどう整理するか
自宅を持っている以上、親の実家に戻って暮らすことはほとんどありません。
しかし「子どもが引き継いでくれたら…」と考える親世代は多く、実際には子どもが遠方に住んでいたり、すでに持ち家があるケースが大半。親の思惑通りにはいかず、結果的に空き家として放置されることが少なくありません。
管理や税負担、そして最終的な処分を巡って子世代に迷惑をかけるリスクにつながるため、「自宅と実家をどう整理するか」は60代のうちに避けて通れないテーマです。 - 融資が厳しくなる
60代では住宅ローンが通りにくい。住み替えをするなら“売却で現金化してから次の住まいへ”が基本。 - 自分の将来のリスクにも備える
認知症などで判断力が落ちると、売却や契約の自由度が失われる。相続登記や名義整理を自分の意思でできるうちに進めておくことが重要。 - 家族との合意形成が欠かせない
「家を残したい子」と「手放したい親」で意見が割れることも。元気なうちに話し合い、方向性を固めておくのが後悔しないためのポイント。
70代で松戸市の不動産を売却する際のポイント
70代は「まだ自分で判断できるうちに整理しておけるかどうか」が最大のテーマになります。
子ども世代への相続や、将来自分に介護が必要になったときの暮らし方を考えると、“決断を先送りにしない”ことが安心につながる年代です。
築年数が40〜50年を超える物件も増え、資産価値の下落や修繕リスクが現実的にのしかかってきます。
メリット
- 意思のあるうちに動ける最後のチャンス
認知症や体調不良で判断が難しくなる前に、自分の意思で売却・住み替えを決断できる。 - 家族に迷惑をかけずに済む
「相続で揉める」「空き家を残す」リスクを減らし、子ども世代がスムーズに生活を続けられる。 - 築古でも土地として需要があるケースも
松戸市内の駅近や利便性の高いエリアでは、建物価値がなくても更地として一定の需要がある。早めに動くことで解体費用もコントロールできる。 - 住み替えで生活が楽になる
段差の多い戸建からエレベーター付きマンションに移れば、体力的な負担が軽くなり、介護サービスへのアクセスも便利に。
注意点
- 築古物件は解体前提になりやすい
築50年前後の戸建は「解体費を差し引いて土地値のみ」での査定が主流。松戸市内でも郊外エリアは特に顕著。 - 判断力の低下リスクと備えの必要性
契約や売却判断には、本人の意思能力が求められます。認知症が進めば成年後見制度を利用しないと動けなくなり、売却の自由度が大きく制限されてしまいます。
ただし、事前に備えておけば対応策はあります。
たとえば「家族信託」を設定しておけば、将来本人の判断力が低下しても、信頼できる家族がスムーズに不動産を管理・売却できる仕組みを整えられます。
後回しにせず、元気なうちにこうした制度の活用を検討しておくことが安心につながります。 - 相続への直結を意識する必要がある
「自分が元気なうちに売る」か「子どもに残す」か。どちらにしても、遺言や名義整理など相続準備を同時に進めないと後で揉める。 - “思い出”と“資産”の切り分けが難しい
長年住んだ家への愛着から「まだ残しておきたい」と思いやすい。だが、残された子ども世代から見れば負担になることも多い。感情と現実の整理をどう両立するかが鍵。
次回予告
次回の 第12話(最終回) では、これまでの解説を締めくくり、
「あとでやろうは馬鹿やろう──先送りが生む後悔と、本当に残せるものは何か」 をテーマにお届けします。
感情の整理と行動の大切さを、最後にもう一度一緒に考えていきましょう。
これまでの記事はこちら
第1話:先延ばしの怖さ。父の人工透析から学んだこと
第2話:なぜ家の整理は“いま”必要なのか?
第4話:不動産売却の流れをやさしく解説【前編】|親の家を売るときの注意点も
第5話:不動産売却の流れをやさしく解説【後編】|媒介契約から引渡しまで
第6話:不動産売却にかかる費用・税金をやさしく整理
第7話:不動産売却でありがちな失敗3選 ── あとで後悔しないために
第8話:松戸市での不動産売却を成功させるための「人選び」の極意とは?