
まあ、今は使う予定もないしね。
とりあえずそのままで、そのうち考える。
親世代から、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
でも、“そのうち”って、一体いつのことでしょうか?
その「いつか」が起きることは、まずない。
何かをする最後のチャンス、すなわち Now or Never ってやつです。

ゆくゆくは、子どものものになるんだから、別にいいじゃないか!
という反論が返ってきそうではあります。
ただ、それって資産の課題を次世代に丸投げしたに過ぎず、かえって迷惑な場合も多い。
たとえば、親御さんの通帳にまとまった預金があるとします。
「そのうち使う」と思ってそのままにしていても、物価は年々上がり続けています。
気づけば、“何もしていないのに価値が減っている”という状態に。
動かさない“安心”が、静かな劣化を招く
この20年間で、食料品も電気代も高齢者向けサービスも、もれなく高くなっています。
その中で、銀行の普通預金金利は 0.001% 。
これだと、増えるどころか、置いておくことで資産は実質的に目減りしている状態です。
また、日本の多くの家庭では「不動産」も大きな資産のひとつです。
けれど、それも使われずに置かれたままだと、次第に価値を失います。
「買う人」も「使う人」もいなくなり、やがては廃墟になっていきます。
守っているつもりが、目減りさせている

親のお金に口を出すのはタブーな気がする。
切り出すのが難しいし、話すと気まずくなる。
そんな情感的なブレーキがあって、親の資産について話すことを元々遠慮しがちな働き手世代。
けれど、実際は、「残すために手をつけない」ことで、残る量も価値も減っていくのが現実です。
「これくらいはあるはずだから」と思っていたお金も、実際に直面する頃には「思ったほど残ってない」なんてことも。
お金も不動産も、どう使うか、どう残すか。
そこを考えておかないと、結局“残っただけ”になってしまいます。
「何もしない」という選択で、どれだけ損をするのか?
「正直、何から手をつけていいかわからない」
「下手に手を出したら損しそうだから、このまま放置しておいた方がマシ」
それもよくわかります。
でも、このまま何もせず放置していれば、それはそれで減っていく。
たとえば、「年利2%」で動かせるのと、「0%」で動かさないのでは、
10年後にはあきらかな差が生まれます。
長くなりそうなので、次回以降何回かに分けて、資産を“寝かせたままにしておく”ことのリスクについて、1級FP・証券アナリストでもある私が、
- 単利と複利の違い
- 定期的に積立しながら複利で運用するとどうなるか
- 電卓で複利計算するのはどうしたらいいか
といった お金の教養(基礎知識) について、どこよりもわかりやすく解説していきますね。